消費税8%時代の電子マネー(1)交通運賃は1円単位? [電子マネー・QRコード決済]
皆様、明けましておめでとうございます。
2014年もよろしくお願い申し上げます。
さて、昨日の記事で予告したとおり、本日より2014年正月特集として
「消費税8%時代の電子マネー」を、5回連載で掲載していきます。
いうまでもなく、2014年4月1日より、いよいよ消費税率が現在の5%から8%にアップ。
単純に税率が価格に反映されるとなると、必然的に半端な数字になるということで
これまで現金支払いに徹していた人が、もしかして、電子マネーに関心を向けるかもしれませんし、
またお店や交通機関・サービス施設側も、初めて接する人に配慮して
これまで以上に、電子マネーに対応できる設備や体制を整えていくかもしれません。
そのような流れを見込んで、当ブログは、消費税8%が導入された以降の電子マネーの動向について、
主観を交え、大胆に予測していきたいと思います。
といっても、あくまで予測ですから、実際は外れるかもしれませんが
そこは大目にみてやってください(と、あらかじめ言い訳)。
さて第1回は、鉄道やバスの運賃に使うICカード、いわば交通系電子マネーについて取り上げましょう。
2013年春に、Suica、PASMOなどをはじめ、全国の大手10種類の交通系電子マネーが
相互利用できるようになりまして、いっそう便利に使えるようになったばかりなのに
それから一年で、税率アップという事態を迎え。
そのアップ分は、どのように運賃に転嫁されるのか。各方面から注目されていました。
そして、すでに報道されているように、JR東日本をはじめ、首都圏の大半の私鉄は、
ICカード利用の場合は、1円単位の運賃になることが判明。
その一方で、関西や東海などそのほかのエリアは、ICカードの普及率がさほど高くなく、
また、券売機や精算機を改修するためのコストなども考えたうえで、
10円刻みの改定になることに決定したようです。
といっても、1円単位になるところは、単純にICカードを使うほうが安く、お得かというと、
必ずしもそうとは限りません。
2013年12月に発表された、JR東日本の「消費税率引上げに伴う運賃・料金改定について」によると。
http://www.jreast.co.jp/press/2013/20131209.pdf
大まかにいうと、普通運賃についてはこのようなルールが適用されることになります。
<山手線・電車特定区間>
ICカード:1円単位。1円未満の端数は切り捨て
紙のきっぷ:10円単位。1円単位は切り上げ
<幹線・地方交通線>
ICカード:1円単位。1円未満の端数は切り捨て
紙のきっぷ:10円単位。1円単位は四捨五入
*定期券はIC定期券(Suica定期券)であっても、改定は10円単位。1円単位は四捨五入
つまり、ICカード普及率が8割にも達する山手線、および首都圏の電車特定区間においては、
その範囲内で旅程が完結する場合は、すべてICカードを利用するほうが安い、または同額となり、
よりICカードの利用を促す方策がとられるようになります。
しかし対照的に、電車特定区間の外側にある、東京の近郊区間や仙台エリア・新潟エリアでは、
「1円単位・端数切り捨て」となるICカード運賃と「10円単位・端数四捨五入」となるきっぷの運賃が
共存するわけで、利用する路線や区間によっては、むしろ、4円以下は切り捨て計算となる
紙のきっぷのほうが、安くなるケースもままあるようです。
その典型例が、初乗り運賃。JR東日本の場合、現行では、幹線・地方交通線とも140円。
山手線や電車特定区間は130円となってます。
これが2014年4月以降は、ICカード利用の場合は、山手線や電車特定区間は133円、
幹線・地方交通線は144円となりますが、紙のきっぷの場合は、なんと、
幹線・地方交通線・山手線・電車特定区間かかわらず、初乗りはオール140円。
つまり、幹線と地方交通線は、紙のきっぷを使うと現行の初乗り運賃が
事実上据え置かれるだけではなく、むしろICカードよりも安いという逆転現象も。
*ほかに、小児運賃なども紙のきっぷのほうが安くなるケースも
これらの運賃については、駅に掲示されている運賃表にて
ICカード利用の場合と、紙のきっぷを使った場合の運賃差について
比較検討できるよう、案内するとのことですが。
狙いどおり、安いほうを選んでその時々に応じてカードときっぷを使い分けるという習慣が
浸透するんでしょうか? あくまで個人的な意見ではありますが、
おそらく、使い分けがめんどくさいという声も相当あるのではないかと予想されます。
したがって、結局は「券売機の前に並びたくないから」「小銭で財布が重くなるのがイヤだから」
ICカード一本槍で通すとか、あるいは「たまにしか電車に乗らないから」
「1円単位の運賃がなじめないから」紙のきっぷにこだわるとか、
そういう利用者も現れそうな気がするのです。
そう、ほぼ全てのケースで「ICカードが安い」東京の山手線や電車特定区間を利用する人のなかにも、
半端な金額になるのがイヤで、割高でも紙のきっぷを使い続けるとか、
あるいはこれまでICカードを使っていたのに、紙のきっぷに戻ろうとする動きが出てくることは、
まったく否定できないと思うんですよ。
何より人間って、それまでの習慣って、よほどのきっかけでもなければ、なかなか変えにくいもの。
ICカードの普及についても、ほぼ全てのケースで
ICカードを利用するほうがおしなべて運賃が安くなる首都圏(私鉄を含む)では
ICカードの普及がいっそう進むかもしれませんが、それ以外の地域では
現状維持で落ち着くのではないかと思っています。
しかも、消費税率がさらに10%に引き上げられる予定の2015年10月には、
おそらく、ICカードも紙のきっぷも再び同一運賃になる可能性が高いと思われます。
海外では、従来の切符よりICカードを使うほうが割安という運賃制度を導入しているところも
あるようですが、こういう格差をよしとしない傾向のある日本では、税率8%期間の
「二重運賃制度」は、いわば、過渡期の措置として受け止める向きが多いのではないでしょうか。
お読みくださいましてありがとうございます。次回もお楽しみに。
よろしければいずれか、クリックを。今後とも応援よろしくお願いします。
2014年もよろしくお願い申し上げます。
さて、昨日の記事で予告したとおり、本日より2014年正月特集として
「消費税8%時代の電子マネー」を、5回連載で掲載していきます。
いうまでもなく、2014年4月1日より、いよいよ消費税率が現在の5%から8%にアップ。
単純に税率が価格に反映されるとなると、必然的に半端な数字になるということで
これまで現金支払いに徹していた人が、もしかして、電子マネーに関心を向けるかもしれませんし、
またお店や交通機関・サービス施設側も、初めて接する人に配慮して
これまで以上に、電子マネーに対応できる設備や体制を整えていくかもしれません。
そのような流れを見込んで、当ブログは、消費税8%が導入された以降の電子マネーの動向について、
主観を交え、大胆に予測していきたいと思います。
といっても、あくまで予測ですから、実際は外れるかもしれませんが
そこは大目にみてやってください(と、あらかじめ言い訳)。
さて第1回は、鉄道やバスの運賃に使うICカード、いわば交通系電子マネーについて取り上げましょう。
2013年春に、Suica、PASMOなどをはじめ、全国の大手10種類の交通系電子マネーが
相互利用できるようになりまして、いっそう便利に使えるようになったばかりなのに
それから一年で、税率アップという事態を迎え。
そのアップ分は、どのように運賃に転嫁されるのか。各方面から注目されていました。
そして、すでに報道されているように、JR東日本をはじめ、首都圏の大半の私鉄は、
ICカード利用の場合は、1円単位の運賃になることが判明。
その一方で、関西や東海などそのほかのエリアは、ICカードの普及率がさほど高くなく、
また、券売機や精算機を改修するためのコストなども考えたうえで、
10円刻みの改定になることに決定したようです。
といっても、1円単位になるところは、単純にICカードを使うほうが安く、お得かというと、
必ずしもそうとは限りません。
2013年12月に発表された、JR東日本の「消費税率引上げに伴う運賃・料金改定について」によると。
http://www.jreast.co.jp/press/2013/20131209.pdf
大まかにいうと、普通運賃についてはこのようなルールが適用されることになります。
<山手線・電車特定区間>
ICカード:1円単位。1円未満の端数は切り捨て
紙のきっぷ:10円単位。1円単位は切り上げ
<幹線・地方交通線>
ICカード:1円単位。1円未満の端数は切り捨て
紙のきっぷ:10円単位。1円単位は四捨五入
*定期券はIC定期券(Suica定期券)であっても、改定は10円単位。1円単位は四捨五入
つまり、ICカード普及率が8割にも達する山手線、および首都圏の電車特定区間においては、
その範囲内で旅程が完結する場合は、すべてICカードを利用するほうが安い、または同額となり、
よりICカードの利用を促す方策がとられるようになります。
しかし対照的に、電車特定区間の外側にある、東京の近郊区間や仙台エリア・新潟エリアでは、
「1円単位・端数切り捨て」となるICカード運賃と「10円単位・端数四捨五入」となるきっぷの運賃が
共存するわけで、利用する路線や区間によっては、むしろ、4円以下は切り捨て計算となる
紙のきっぷのほうが、安くなるケースもままあるようです。
その典型例が、初乗り運賃。JR東日本の場合、現行では、幹線・地方交通線とも140円。
山手線や電車特定区間は130円となってます。
これが2014年4月以降は、ICカード利用の場合は、山手線や電車特定区間は133円、
幹線・地方交通線は144円となりますが、紙のきっぷの場合は、なんと、
幹線・地方交通線・山手線・電車特定区間かかわらず、初乗りはオール140円。
つまり、幹線と地方交通線は、紙のきっぷを使うと現行の初乗り運賃が
事実上据え置かれるだけではなく、むしろICカードよりも安いという逆転現象も。
*ほかに、小児運賃なども紙のきっぷのほうが安くなるケースも
これらの運賃については、駅に掲示されている運賃表にて
ICカード利用の場合と、紙のきっぷを使った場合の運賃差について
比較検討できるよう、案内するとのことですが。
狙いどおり、安いほうを選んでその時々に応じてカードときっぷを使い分けるという習慣が
浸透するんでしょうか? あくまで個人的な意見ではありますが、
おそらく、使い分けがめんどくさいという声も相当あるのではないかと予想されます。
したがって、結局は「券売機の前に並びたくないから」「小銭で財布が重くなるのがイヤだから」
ICカード一本槍で通すとか、あるいは「たまにしか電車に乗らないから」
「1円単位の運賃がなじめないから」紙のきっぷにこだわるとか、
そういう利用者も現れそうな気がするのです。
そう、ほぼ全てのケースで「ICカードが安い」東京の山手線や電車特定区間を利用する人のなかにも、
半端な金額になるのがイヤで、割高でも紙のきっぷを使い続けるとか、
あるいはこれまでICカードを使っていたのに、紙のきっぷに戻ろうとする動きが出てくることは、
まったく否定できないと思うんですよ。
何より人間って、それまでの習慣って、よほどのきっかけでもなければ、なかなか変えにくいもの。
ICカードの普及についても、ほぼ全てのケースで
ICカードを利用するほうがおしなべて運賃が安くなる首都圏(私鉄を含む)では
ICカードの普及がいっそう進むかもしれませんが、それ以外の地域では
現状維持で落ち着くのではないかと思っています。
しかも、消費税率がさらに10%に引き上げられる予定の2015年10月には、
おそらく、ICカードも紙のきっぷも再び同一運賃になる可能性が高いと思われます。
海外では、従来の切符よりICカードを使うほうが割安という運賃制度を導入しているところも
あるようですが、こういう格差をよしとしない傾向のある日本では、税率8%期間の
「二重運賃制度」は、いわば、過渡期の措置として受け止める向きが多いのではないでしょうか。
お読みくださいましてありがとうございます。次回もお楽しみに。
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