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女性用カメラバッグが真剣に欲しかった頃 [レビュー記事]

十数年前、トラベルライターとして駆け出しの頃。
趣味ではなく仕事で、私は一眼レフカメラ(もちろんデジタルでなく銀塩)を携え、
東京都内の商店街やレストランから全国の観光地まで、取材に出かけていました。

当時は一応、鉄道誌の仕事もしていて、今をときめく「鉄子」のはしりよろしく、
おぼつかない手つきで、鉄道車両や駅舎、車窓に向けてパチリ。
またあるときは、慣れない人物写真を撮ろうと悪戦苦闘したり、シャッターチャンスを逃したり、
逆に会心の写真を撮ろうと身構えていたら、肝心の原稿書きに必要なデータを収集するのを
忘れていたりなど、ほろ苦いエピソードもあったりします。

正直、もとから写真を撮るのにそんなに熱心だったわけではなく
仕事の必要に迫られて、どちらかといえば仕方なく撮り始めたようなもの。
ですから、何年経っても、写真の腕が見違えるように上達するわけではなく
むしろ、下手な写真を懸命にトリミングしてくださる編集者に対し
ひたすら申し訳なく思うばかりだったのです。

そしてそんな私は、カメラについて技術的なことよりも、もっと深刻な悩みを抱えていました。
それは、自分にとってしっくりくるカメラバッグになかなか出合えなかったこと。

街のカメラ量販店をのぞいても、どうしても女性が持つにはゴツいデザインのものが多く。
かといってごくたまに可愛らしい仕様のを見かけても、機材やら何やらがすべて収納できなかったり。
はたまたエレガントな女性向け、とうたってるカメラバッグもあったりしましたが、
自分のファッションにはいまひとつなじまず。

一時は、一世を風靡した黒いミニリュックのブランドが、カメラバッグの分野に進出してくれたら、
どんなに高くても買っただろうなと真剣に考えたことも。
その思いは、かつてブログにも書いたことがありましたが、結局はいかにも
「カメラバッグ」然とした味気ないバッグを、我慢しながら使い続けていました。

そうこうしているうちに、私の仕事は女性誌にシフト。少しは出世したのか(?)
別にカメラマンがつくようになり、自らが撮影しなければならない義務は激減。
文章のことだけ考えればよくなり、ホッとすると同時に、プライベートも含め
カメラに触れる機会はめっきり少なくなり、もちろんカメラバッグのことも
悶々とした悩みとともに、自分の関心事から消え去ってしまいました。

あの時、外面ばっかり気にして、カメラバッグにこだわるよりも
自分の撮影の腕を磨くほうに精進してれば、もう少し大成し、写真も撮れるトラベルライターとして、
一本立ちしていたかもしれなかったのに。
ホントに今振り返ると、当時はどーでもいいことで悩んでいたものです。

さて、月日は流れて幾星霜。私はトラベルライターとしてバリバリに活躍するどころか
事実上の開店休業状態。その一方で、「カメラ女子」という言葉が示すように
一般の、ごく普通の女の子の間でも、カメラに親しむ光景は決して珍しいことではなくなり、
女性が皆無だった鉄道の分野でも写真撮影にいそしむ「撮り鉄子」が台頭。
なかには、ブログでプロ顔負けの腕を披露しているカメラ女子もいるほどです。

カメラもアナログからデジタルへ。そしてネットショップでもごく当たり前のように
カメラ女子向けの雑貨を扱うところが増えてきています。

そんななか、自分のブログ名に似ているという点でもとりわけ親近感を覚える「日々カメラ」は、
デザイン性と実用性を兼ね備えたLIPH カメラバッグをはじめ
カメラストラップやカメラケースを紹介、販売しているセレクトショップ。

品数がとびきり多いというわけではありませんが、私が興味をもったところは
小さな工房で職人さんが自ら素材を選び、ひとつひとつていねいに作り出している。
そのあたたかな手作り感が、商品ににじみ出ている点です。

そしていうまでもなく、ふだん使いしてもまったくおかしくないような
小粋なセンスにあふれるグッズばかりがそろっている。そういったところにも、魅力を感じました。

で、私が一番気になった商品が、水玉のカメラバッグ。当時の私のファッションにはドンピシャリ。
カジュアルな感覚にあふれ、日常の使用にも違和感は全然ないですね。

もっとも、当時から人の何倍も荷物が多くなってしまう性格だったし
何より今の年齢を考えると、レザー製の大きめなLIPH カメラバッグを選択するのが
現実的かもしれません。

現在はトラベルライターへの本格復帰を期して、企画書を書き
売り込みについてもあれこれ考えをめぐらしているところ。
個人的に破綻状態にある経済を立て直し、一眼レフのデジタルカメラを購入できるくらいになったら、
再度、「日々カメラ」を訪れてみたいと思います。

そう、今のカメラバッグは、フィルムのためのスペースをとる必要がなくなったし
フィルムの本数や撮影できる枚数を気にすることもほとんどなくなったし
失敗して無駄になる写真も激減したし…こういう意味でも、デジタル化が
カメラ女子を大幅に増やした要因になったのかもしれませんね。


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