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2012年電子マネー展望(2)交通系電子マネー [電子マネー・QRコード決済]

皆さんこんにちは。元祖・鉄子でもあり、「電子マ姐(ねえ)さん」としても売り込みを
図ろうとしているトラベルライター兼、電子マネー研究家・岩間昌子です。

2012年の幕開けとともに始まりました新年特集「2012年電子マネー展望」
2回目の今日は、Suica(スイカ)やPASMO(パスモ)などの、いわゆる
交通系電子マネーについて取り上げたいと思います。

本文に入る前に、交通系電子マネーの一般的な定義を申し上げておきますと
改札機の読み取り部にタッチすることなどで、鉄道やバスなどに乗れるICカード乗車券と
買い物に利用できる電子マネーを兼ねたもの。いわば、乗車券があくまで「主」であって
「鉄道やバスが利用できる電子マネー」というよりは、「買い物に使える電子マネーが
付いたIC乗車券」という呼び方のほうが、より正確だと思われます。
*ICカード乗車券は「ICカード」または「IC乗車券」ともいいます

電子マネーを発行する交通事業者のほうでも、鉄道などに乗るときは「ICカード乗車券」、
買い物に利用するときは「電子マネー」と、意識して区別した呼び方をしているようですが、
カードや携帯電話のなかにチャージされたお金が「これは乗車用、これは買い物用」と
明確に分類されているわけではありません。
ユーザーの使い方によって、切符にも買い物用電子マネーにもなるわけですから、むしろ
端的に「鉄道やバスにも乗れる電子マネー」と表すほうが実情に即していると思います。

したがってこの記事では、交通機関を利用する場合についても、「交通系電子マネー」と
表記することにします。

さて、昨日取り上げました独立系電子マネー・Edyのデビューとほぼ時を同じくして、
2001年11月に国内初の本格的なICカード乗車券として誕生したのがSuicaで、
それから10年余りの間に、全国の大都市圏それぞれに、JR系と私鉄(公営交通)・バス系、
各1種類(以上)ずつの交通系電子マネーが登場しています。

札幌地区-Kitaca(キタカ・JR北海道)、SAPICA(サピカ・札幌市営地下鉄)

首都圏-Suica(スイカ・JR東日本)、PASMO(パスモ・株式会社パスモ)

名古屋地区-TOICA(トイカ・JR東海)、manaca(マナカ・名鉄、名古屋市交通局など)

関西地区-ICOCA(イコカ・JR西日本)、PiTaPa(ピタパ・スルッとKANSAI)

福岡(北九州)地区-SUGOCA(スゴカ・JR九州)、nimoca(ニモカ・西鉄)、
はやかけん(福岡市交通局)

*Suicaは仙台・新潟地区、TOICAは静岡地区、ICOCAは岡山・広島地区、
PiTaPaは静岡・岡山地区もカバー

交通系電子マネーの特徴のひとつに、相互利用制度というのがありまして、
上にあげたなかでは、札幌・名古屋地区を除いて(*1)、JR系と私鉄(公営交通)・バス系、
それぞれの交通系電子マネーで、同じ地域にあるほかの交通系電子マネー管轄エリアの
鉄道やバスにも乗れるようになっています。
(*1)TOICAとmanacaの相互利用は、今年4月21日からスタートする予定です

また、Suicaのように、ほかのJR4社がカバーするエリアや、九州のnimoca・はやかけんエリアなど、
遠く離れた地域でも相互利用可能な交通系電子マネーもあります。

しかしながら、例えばA社とB社、B社とC社はそれぞれ相互利用できるのに、
A社とC社が相互利用できないケースも多々あったりして、利用者側にとっては
どれどどれが相互利用できるのか、あるいはできないのか、わかりにくいことこのうえないのも、
相互利用制度の大きな欠点でした。

その欠点を改良しようと打ち出されたのが、上記のうち、SAPICAを除く(*2)10種類の
交通系電子マネーを、すべて相互利用化しようという計画。
2010年12月に検討開始のニュースリリースが出て、翌2011年5月には、実施に向けて合意。
2013年春をメドに、全10種類の相互利用サービスが開始される予定です。
(*2)2011年5月発表のリリースには、Suica陣営に、札幌市交通局、北海道中央バス、
じょうてつ、ジェイ・アール北海道バスと、SAPICA陣営あるいはSAPICA陣営に参加予定の
交通事業者が含まれており、SAPICAがSuica陣営に加わるのか、ひょっとしたらSAPICAが
Suicaに吸収されて名前も変わるのかわかりませんが、いずれにしても事実上、SAPICAを含めた
上記11の電子マネーの相互利用化が図られるといってもいいかもしれません

これが実現しますと、上記の電子マネーいずれか1枚あれば、北海道から九州まで
全国の大都市圏にある交通機関はほぼ小銭いらずで乗れるようになります。

また、これまではどうしても、相互利用できる交通機関が多いSuicaなどに人気が集中していましたが、
相互利用化実現後はお住まいの地域で手に入りやすい交通系電子マネー1枚を購入すれば、それでOK。
地元の店から遠くの鉄道まで、利用の可否をほとんど気にせずに使えるようになります。

また逆に、住んでる地域にこだわらず、自分にとって本当にお得で使いやすい
交通系電子マネーを選べるようにもなります。
ひも付けできるクレジットカードや交換できるポイント・マイル、乗車ポイント制度、
お得なサービスの数々…Suicaのほかにも魅力的な電子マネーはたくさんあります。
むしろ今後は、相互利用の問題がひとまずクリアされることで、それ以外のところで
お互いが勝負できる土壌が整備されていくのではないでしょうか。

相互利用実現は来年春を予定しているので、交通系電子マネーのユーザにとっては
2012年は「静観の年」といってもいいのかもしれません。
ただし、実現に向けてこの一年、各電子マネーはこの間になんとか新規ユーザ獲得を図ろうと、
既存サービスの見直しや新サービスの設定、キャンペーンなども展開すると思われますので、
2012年が「激動の年」になる可能性があることは、決して否定できません。

基本的には乗車はもちろん、鉄道・バス会社系列のショッピング施設や、
沿線の商店街などで買い物に使えたり、割引がきいたりすることが多い
自分の地元を走る鉄道(バス)に関わる電子マネーを選ぶことをおすすめしますが
どうしても、電子マネーによってポイント(マイル)のたまりやすさや使い勝手に
大きな差があるのも事実。交通系電子マネーでポイントやマイルをためている人は
地元の電子マネーよりも、むしろポイントがよりたまる、お得なほうを選ぶのもいいと思います。

現時点ではSuicaのサービスが他を一歩リードしている感があり、「Suica一強」という人もいますが、
個々人のライフスタイルや、使い方によっては
ほかの電子マネーのサービスのほうが合っている場合もあります。

例えば、昨年12月15日に申込受付を開始したばかりの「JRタワースクエアカード ANA Kitaca」
文字通り、ANAのフライトなどでANAマイル、札幌駅のJRタワースクエア内での買い物で
JRタワースクエアカードのポイントがたまり、
かつ、Kitacaエリア・Suicaエリアの乗車券としても使えるというクレジットカード。

このカードは、JRタワースクエア以外でのクレジット利用分を、ポイントかANAのマイルか、
どちらでためるか選べるようになっています。
ただしANAカードではないので、ANAマイルの積算レートは300円で1マイルと、
「ANA VISA Suicaカード」に比べてマイル還元率は低くなってしまいますが、
JRタワースクエアでためたポイントを、ANAマイルに移行できるサービスもあり
地元に住んでいる人であれば、「JRタワースクエアカード ANA Kitaca」のほうが使いやすく、
マイルも効率的にためられると感じるかもしれません。

また、関西の私鉄・バスなどをカバーするPiTaPaは、交通系電子マネーでは唯一といっていい
後払い式で、じつは相互利用化サービスが始まっても買い物利用の分野では、
10種類のうちPiTaPaだけが相互利用網から外れてしまうことになります。

じゃあPiTaPaは持っていても不利かなあと思いがちですが、交通機関では
ほかと相互利用できるようになりますし、後払い式が好みという人は
遠方に住んでいても、あえてPiTaPaをチョイスするというのもひとつのやり方。
何しろ、クレジットカード利用料金と合算しての後払い式ですから、
一部のチャージ式電子マネーのように「チャージしてもポイントが付かない」という事態に
悩まされることもなく、ひも付けクレジットカードによる買い物でポイントをためる
楽しみもありますし、PiTaPa加盟社局の交通機関の割引制度もかなり充実してます。

実際関西地区では、「使わないかもしれないお金を前もってチャージしておくよりは、
使った分だけ後で払うほうがいい」「乗った分、買った分だけたまるポイントで割引がきき、
さらにお得に乗れる」と、関西らしい合理性に富むPiTaPaを支持する人も決して少なくありません
(割引制度がちょっと複雑ですけどね)。

さらに今年の動きとして注視したいのが、上記にあげた11の電子マネー以外の交通系電子マネーの動向。

特に四国地区は、JR四国が自前の電子マネーを持っていないことから、ともすれば
「電子マネー後進地域」と思われがちですが、今年春からは、高松駅・坂出駅に
ICOCA専用改札機を設置し、JR西日本岡山地区のICOCAエリア内の駅との間で相互利用が
可能になる予定です(高松駅、坂出駅を区間に含むICOCA定期券の発売はなし)。

また、私鉄に関してはむしろ、交通系電子マネーの先進地域といっていいところで
モバイルSuicaよりも早い時期に、携帯電話アプリの「モバイルい~カード
(スマートフォンを除くNTTドコモのみ対応)」を、カード版の「ICい~カード」と同時リリース、
後払い式の百貨店提携カードや、JALマイレージバンクとの提携カードもある伊予鉄道(愛媛県)の
「い~カード」や、公共施設などでも利用でき、買い物によりポイントをためることもできる、
ことでんグループ(香川県の高松琴平電気鉄道など)の「IruCa(イルカ)」など、
サービスが充実した電子マネーが目白押しです。

もしかしたら、大都市圏以外の交通系電子マネーのなかにも、ほかの有力電子マネーと
相互利用化を図ろうということで、大手電子マネーの相互利用サービス網に
加わろうとする動きがあるのではないかと、個人的に期待もしているところです。


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