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自信が運を引き寄せる [あいさつ・内輪話]

「最近連絡ありませんが、お元気ですか」
2010年の元旦。とある出版社の編集者からいただいた年賀状に
手書きで添えられたひと言を見て、申し訳ない気持ちで胸がいっぱいになりました。

そのハガキを手荷物にしのばせ、新幹線で北に向かい、2年ぶりの帰省。
しんしんと雪が降るなか、実家に着くと、これまで見たことがないほどの
苦しそうな様子で、母が台所に立っていました。

「ホントはこういうふうにしているのもつらくて…でもアンタたち(私と妹)が来るから」
母はいつものように気丈に振る舞っていたけど、それでもいつになく弱気な発言も。

何より、あんなに健康を自慢していた母だったのに。

身体が弱く、愚図だった私は、ずっと母に苦労をかけっぱなし。
学校時代もそうだし、飛び出すように上京し、30年近く東京で頑張っても
全然芽が出ない今に至るまで。

「仕事はどうなの? お金は大丈夫なの?」母のいつもの口癖が出て。
「ゴメン、ずっと前に本を出しませんかと言ってきた出版社から、久々に年賀状を
もらって…絶対今年は本を出すからね」と、私は涙を流しながら弁解しました。

すると、いつもは「ちゃんとした仕事(会社員など)に戻ったほうが
いいんじゃないの?」と言葉を返す母が、「(この不況下)仕事に就くのも
大変でしょう」と、何か苦労をねぎらうようなニュアンスの発言。
やけに物わかりがいいなと思い、かえって切なくなりました。

それから1カ月も経たないうちに母は入院。航空会社の整備工場見学会をキャンセルして
見舞ったバレンタインデーの週末が、生前の母に会った最後に。

そして。年賀状をくださった編集者の在籍する出版社にて、ふとした失言で
別の編集者を怒らせてしまい、意気消沈したままその場を後にした日から
ちょうど一年後の2010年2月17日。母は私の本を目にすることなく、息を引き取りました。

母が亡くなる前後、2月の初めから5月下旬まで、専門外の2冊の書籍を編集するため
私は都心にある編集プロダクションへ通勤する生活を続けていました。
時折は実家のことで帰省もしたけど、ゴールデンウィークも返上し、
つらいことを忘れようと、がむしゃらになって働きました。

その仕事が一段落する頃、くだんの編集者からあらためてメールをいただき
5月下旬に再会。年内の出版を約束し、6月中旬からさらに1カ月間の校正の仕事を経て、
それが終了した梅雨明けの頃から、私は本格的に執筆に取りかかりました。

暑いなか、エアコンがうめく部屋にこもりきりで原稿を書く生活。
こういうのもまんざらじゃないなあと、むしろ楽しみながらキーボードを叩いていたのに。

原稿を送れど送れど、かんばしい返事は得られません。
なんでも、担当者がよくても、社内でゴーサインが出ないとかで。

「今さらそんな企画じゃ売れない」「今ある媒体で十分な内容ではないか」
なかには「(コストのかからない)電子出版で発行してはどうか」という
親心的な意見もあったそうだけど、気持ちはわかっても、やはり誰にでも気軽に
手にとってもらえる紙の本で読んでもらいたいというこだわりもあって。

その後、厳しかった残暑がようやく去る頃になって、やっとゴーサインがいただけました。
180度とはいかなくとも、120度くらい当初の企画から転換することを条件に。

しかし、今度こそやっと、と思ったのもつかの間。
同じ頃に、派遣社員として別の出版社で、またまた編集の仕事に就くことになって。
期間は年内いっぱい。さらに仕事をしてみると、予想以上の忙しさ。
編集の仕事はやりがいがありましたが、自分の本の年内出版は断念せざるを
得なくなってしまいました。

でもこれも、もしかして母が「一周忌も過ぎないうちに…」と
私をいましめた結果なのかもしれません。

かくして私、年末年始の休みに入り、あらためて本の執筆に取り組んでいます。
遅れ気味ではあるけれど、タイミング的にも2011年の春が最後のチャンスだと思い
それに間に合うように全力投球しています。

じつはクリスマスプレゼントとして(?)、またまた3カ月ほど連絡を断っていた編集者へ、
原稿第1弾として、1章と2章の途中までの分を送付(全7章の予定)。
予定の半分もできていなかったのを、申し訳なく思いながら。

その日は、久しぶりに寝付かれない夜を過ごしました。
もしかして出版計画がまた暗礁に乗り上げるかも、の不安も正直、頭をもたげました。

週末をおいて、いただいたメールの返答には、出版業界の厳しさを伝える内容とともに
それでもいい本を作り上げていきましょうと、読み取れる言葉が。

そういうわけで私は、ここ数年なかったおだやかな気持ちで、年の瀬を過ごしています。

もう、列車は走り出しているのだから。
途中で止めるわけにもいかないし、途中で降りるわけにもいきません。

2011年は、自分にとって、間違いなく特別な年になります。
何しろ、長年の夢がかなう時が、確実に来るのですから。

数え切れないほどの迷いや紆余曲折を経て。
母の生きているうちに夢がかなえられなかったという後悔の念は消えませんが
それを抱えながらも、担当者だけではなく、もっと大勢の人を待たせているに違いない
本の出版を実現しませんと。

自分がトラベルライターであると名乗れる、たったひとつのよすがである
パズル誌の連載コラムや、生活のために行なっている編集や校正の仕事にも、
いろいろと勉強になることはありました。
そして、それらの仕事を通じて、着実に「自信」をつけていったこと。
それが、逆境を乗り越えて、本を出版するという夢をつかむ「運」につながったのだと思います。

一方で、ブログは母の死を境に更新頻度が大幅に減って、アクセス数は本当に半減。
mixiも日記に「イイネ!」が付けられるようになったという機能追加に反対して
2010年8月上旬以降、日記の更新をパタリとやめてしまいました。
アメブロも相変わらず月一ペース、ツイッターも最近はサボリ気味で…。

でも、ひと頃のように、アクセス数やランキングに一喜一憂し
要らぬ悩みを抱えるよりは、今みたいにマイペースでやってるほうが、
気持ちも落ち着いていられるかなと思って。

ブログのほうも2011年は、マイペース更新を旨としながら
それでも少しでも皆さんに役立てていただける、マイルやポイント情報、
特に交通系電子マネー情報には力を入れて紹介しようと思ってますので
これからもよろしくお願いします。

それでは皆様、よいお年を!

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交通系ICカード10種類、2年数カ月後に相互利用化へ [電子マネー・QRコード決済]

およそ3週間のごぶさたでした。
遅れている初めての自著の執筆、早く何とかしなければと思い
大みそかギリギリまでは、ブログをアップする予定はなかったのですが。

やはり、一昨日(2010年12月20日)出たこのプレスリリースを見た時に
書かずにはいられなくなりまして。

交通系ICカードの相互利用サービスの検討を開始しました

こちらは、以下の11事業者・団体の共同リリースとなってます
(原則として会社名などは通称・略称)。

JR北海道(PDF)
http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2010/101220-1.pdf

PASMO協議会

JR東日本(PDF8KB)
http://www.jreast.co.jp/press/2010/20101215.pdf

名古屋市交通局

名鉄

JR東海
http://jr-central.co.jp/news/release/nws000654.html

スルッとKANSAI協議会

JR西日本

福岡市交通局

西鉄(PDF)
http://www.nishitetsu.co.jp/release/2010/10_145.pdf

JR九州

概要は、以上の11事業者・団体が関わる、次に挙げる交通系ICカード10種類の相互利用
サービスについて、平成25年(2013年)春の実現を目標に検討を開始したとのこと。

JR北海道「Kitaca」
株式会社パスモ「PASMO」
JR東日本「Suica」
名古屋市交通局および名鉄「manaca(マナカ)」*2011年2月11日導入予定
JR東海「TOICA」
株式会社スルッとKANSAI「PiTaPa」
JR西日本「ICOCA」
福岡市交通局「はやかけん」
西鉄「nimoca」
JR九州「SUGOCA」

つまり、ここに挙げた交通系ICカードのいずれか1枚さえあれば、札幌から福岡まで、
全国の大都市圏を走る鉄道やバスのほとんどに乗れるようになるっていうわけ。

確かにこれは、画期的な話ですね。
現実、上記のICカードには、すでに複数のカードと相互利用できるようになっているのも
ありますが(最高はSuicaで、manacaとPiTaPaを除くここに挙げたすべてかな)、
何しろ、どれとどれが相互利用できるかなんて、覚えにくいことこの上なく。
「めんどくさいなあ、全部まとめて一つにしてくれればいいのに」という声は
あちこちから上がっておりました(正直、私自身もそう感じてました)。

何より不思議なのは、A社とB社が相互利用できて、B社とC社が相互利用できても
A社とC社が相互利用できるとは限らないケースが少なくないこと。
「おかしいなあ、技術的に難しい問題はないはずなのに。さては縄張り意識とかが
からんでるのかな」たぶん、そんな事情があるだろうとは推測できても
結局は、ユーザにとっては不便きわまりなく。
これでやっと、利便性が大幅に向上することになりますね。

10種類のICカードの相互利用が完成したあかつきには、お住まいの地域とかで
手に入りやすいICカード1枚を購入すれば、それでOK。
地元の店から遠くの鉄道まで、利用の可否をほとんど気にせずに使えるようになります。

また逆に、住んでる地域にこだわらず、自分にとって本当にお得で使いやすい
ICカードを選べるようにもなります。
この件についてのニュースやブログ記事のなかには、Suicaへの人気がいっそう過熱し
Suicaの一人勝ち状態がますます強まるのではないかと論じているものもありますが
いろいろと調べると、必ずしもSuica最強とは言いきれないところもありまして。

ひも付けできるクレジットカードや交換できるポイント・マイル、乗車ポイント制度、
お得なサービスの数々…ほかにも魅力的なICカードはたくさんあります。
むしろ今後は、相互利用の問題がひとまずクリアされることで、それ以外のところで
お互いが勝負できる土壌が整備されていくのではないでしょうか。

そうそう、マイルといえば。
この前の日曜日、JALの東京-大阪線を日帰りで往復しまして。
それもこれも、JALカード会員毎年初回搭乗のボーナスマイル2,000マイルを
得るためだったんです。
*それにしても、好きな飲み物が無料で飲めるのはやっぱりうれしいな(笑)

その時、大阪着は関空利用となり、JR大阪環状線の駅が最寄りという出先には
手持ちの「Suica定期券(にチャージされたSuica)」1枚で行くことができまして。
便利さを実感したわけですが。

帰りは伊丹発を利用。飲み屋の最寄りの大阪(梅田)駅からは、阪急電車から
大阪モノレールを乗り継いだわけですが、ここは現金を出さねばならなくて。
つくづく「せめて、PiTaPaがおサイフケータイのアプリになってたら
休眠中のモバイルSuicaを復活させ、あたかも1枚のカードのように利用するのに」と
なげいたものでした。

PiTaPaまで検討会メンバーになったとすれば、もう、携帯アプリなんていわなくても
いいわけですね(しかし、PiTaPaはほかのICカードと違い、後払い式ですから
いまのICOCAと同じように、完全な相互利用化は難しいかもしれませんが)。

あと気になったのは、まだデビュー前のmanacaがちゃっかりメンバーに入ってるのに
札幌市交通局のICカード「SAPICA(サピカ)」の名前は見当たらないこと。
うーん、Kitacaとの相互利用も、なかなか進まないようで…。

それとここに名前が挙がってない、その他の中小私鉄やバス会社、公営交通のICカードについても、
今回の発表を機に、検討会に加わろうという動きがあるかもしれませんね。
あるいは「ウチでもICカードを新しく発行しよう」とか。そういう気運が盛り上がるかも。

また、今回のリリースではあくまで交通機関への乗車について相互利用が進むという話。
駅の売店やコンビニなどでの買い物といった、いわば「電子マネー」としても
相互利用できるかどうかについては、もう少し待たなければならないかもしれませんが
大いに期待したいものです。

マイルの話をメインとしながらも、特に交通系の電子マネーの話題にも舵をきって
お届けしようと思っているこのブログ。
皆さんのなかにも、「相互利用が完成するまで、ICカードを持つのを待とうか」という人も
いるでしょうが、逆に「今からどれかICカードを準備して、2年数カ月後には
バリバリの使い手になろう」と決意したかたもいらっしゃるかもしれません。

そんな皆さんのためにも、今後ともつとめて、ブログ等で最新情報を発信していきたいと
思ってます。何とぞよろしくお願い申し上げます。

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